会長あいさつ

渡辺正光(昭和59年卒業)

渡辺正光(昭和59年卒業)
渡辺正光(昭和59年卒業)

平成25年12月7日の愛宕倶楽部総会で長島健治前会長の後任として、愛宕倶楽部会長を仰せつかりました昭和59年卒の渡辺正光です。非才の身には重く感じられる大任ではございますが、会員の先生方、学生諸君のご支援を賜り責務を全うしていく所存でございます。

我が東京慈恵会医科大学野球部の創部は明治34年(硬式野球部100年史)とされ、慶応義塾大学野球部(明治29)早稲田大学野球部(明治34年)、東京大学野球部(大正8年)<旧制一高野球部は明治5年)と比較しても、医学部故の多少の活動内容の違いを大目に見ていただくとすれば、全く遜色のない伝統を誇るものであります。この伝統を絶やさないことが、私の会長として果たさなければならない最大の務めと考えております。東医体優勝、リーグ戦優勝はその次の目標です。約10年前、部員が不足し、数名の新入生入部がなければ、廃部または休部に陥る危機がございました。「女子マネージャーは試合に出られないのか」「若いOBが変装して出場すれば、ばれないのではないか」「準硬式部員に兼部をお願いしようか」「潔く廃部にしようではないか」等、今思えば笑い話ではございますが、当時は真剣に話し合いました。幸いに杞憂に終わりましたが、現に昭和9年に始まった京都府立医大との定期戦は、平成8年府立医大が部員不足により休部となったために以後消滅いたしました。現在部員は、6年生を含め18名が在籍しておりますが、油断はできません。本大学は1学年100名程度の単科大学でありながら、27の運動部、15の文化部が存在します。さらに女子学生が約3割を占めている現状を踏まえると、複数名の新入生獲得が今後も困難な状況であることは、想像に難くありません。その危機を打開するためにもOB、現役学生が力を合わせ魅了のある硬式野球部を作りあげることが必要です(最大の魅力は<強い>ことだと思ってはいますが)。私は新入生の入部並びに現役部員の活動継続のため応援を継続していくことを固く決意するものであります。

会長就任に当たり、OBの先生方に二つのお願いがございます。愛宕倶楽部会則に

第3条(目 的)

本会は東京慈恵会医科大学硬式野球部(以下慈大硬式野球部)の活動を支援し、その発展に寄与すると共に、会員相互の親睦を図ることを目的とする。

とございます。

第一のお願いは、硬式野球部の活動支援、率直に申し上げると会費の納入です。愛宕倶楽部から野球部に毎年一定額の援助を行っておりますが、近年会費納入率が50%を割りました。もちろん学生には支出の見直しを検討してもらっていますし、また事務局の大越先生には、過去会計から未来会計へのシフトをご提案いただき、また会費納入のため奔走いただいておりますが、このままでは来年度の赤字転落は避けられません。贅沢品は必要ありませんが、学生たちが、楽しく、元気よく、溌剌としたプレーができる硬式野球に相応しい環境を作ってあげたいのです。

第二のお願いは、愛宕倶楽部新人歓迎会並びに総会への出席です。愛宕倶楽部は学生のためだけに存在するのではありません。やはり10数年前、会へのOB出席人数は一桁で、新橋亭の円卓一つで十分でした。最近は長島前会長のご尽力により円卓3つほどにはなりましたが、まだまだです。学生数より多いOBの先生方の出席を期待しております。学生時代の成績なんて全く関係ありません。昔の武勇伝に花を咲かせるのもよし、孫の自慢話をするもよし、若いOBであれば、先輩に就職のお手伝いをお願いするもよし、開業のノウハウを聞くもよし、結婚の相談をするもよし、野球が好きなもの同士、昔の楽しかったこと、悔しかったことを思い出し昔と同じように、いや昔以上に盛り上がろうではありませんか。(もちろん将来、未来、夢についてもお話しましょう)

野球を代表とする団体競技は、個人競技では経験することのできない、大きな喜び、感動を味わうことができます。仲間との夢、汗、時間のしみ込んだ<襷>をかけ、組織の中の個人として極限まで追い込まれた状況の中で走る箱根駅伝選手に我々は感動し、涙腺が緩みます。本来個人競技である陸上が、襷一本で団体競技に変身したための現象と考えます。先のソチオリンピックで、葛西紀明選手は、個人ジャンプで銀メダルを獲得しましたが、団体で獲った銅メダルの方が、数倍嬉しいものと推測するものですし、観衆の感動も然りです。なぜならそこには<仲間>がいたからです。味方のファインプレーは自分のファインプレーのように喜び、味方のエラーには一緒に心を痛めそして励まし合う、これが<チーム>であり<仲間>なのだと思っております。我々は、箱根路を走ることやジャンプをすることは不可能ですが、彼らに勝るとも劣らない感動、喜びを野球を通して体験しており、時代は変わっても、汗、涙、歳月を共有した<仲間>なのであります。

不慣れな部分も多々ございますが、愛宕倶楽部、東京慈恵会医科大学硬式野球部発展のため鋭意努力する決意です。何卒なお一層のご指導、ご支援を賜りたく衷心よりお願い申し上げます。